尿路結石の治療と予防法 - わたなべクリニク院長雑記

尿路結石の治療と予防法

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治療法

1.      保存療法:自排石、つまり自然に尿道から石を排出させることです。水分を大量にとり、石の下降を促します。6~9mm程度の石なら3ヶ月以内に排出される可能性があるので、小さい結石の場合には保存療法を選択します。痛みに対しては、痛み止めの座薬か効果がない場合は病院で痛み止めの注射をするしかありません。痛みがひどい時や、熱が出て腎盂腎炎の併発が疑われる時は入院する必要があります。

特殊な種類の結石には結石溶解療法という結石を溶かす方法もありますが、効果に時間もかかり一般的ではありません。

2.      外科的治療:結石が1cm以上の時、結石がまったく動かない時、腎臓がはれた(水腎症)場合には、外科的治療が必要になります。体外衝撃波結石破砕術(ESWL)はお腹を切ることなく、衝撃波で身体の中の石だけを壊す方法で一番身体への負担が少ない治療法です。また結石が硬くて大きい場合はESWLでは難しいので、尿道からの内視鏡(経尿道的尿管砕石術)か、腰部から腎臓に穴を開けての内視鏡(経皮的腎砕石術)を用いて結石を破砕し取り出します。

 

予防

 明らかな原因がないのに結石ができると言う事は、裏を返せば完璧な再発予防法がないと言うことでもあります。しかしながら、以下の事に注意すれば、結石は再発しにくいと言われています。生活の工夫と心掛けで予防や再発防止に努めてください。

1.水分をたっぷりとること:1日2リットルの尿量を保つようにしましょう。尿が薄くなれば結石の素である結晶ができにくくなります。水分なら何でも良いのですが、ビールなどは結石をつくる原因になる可能性がありますのでお勧めできません。

2.眠前の過食はやめる:"結石は夜作られる"と言います。就寝中は尿が濃くなるうえに、尿中の結石形成促進物質の濃度があがります。ですから、眠前には水分をとり、なるべく食事は控えた方が良いのです

3.カルシウムは適度にとる:カルシウムは結石の素になるシュウ酸と腸内でして結合し、体内への吸収を防ぎます。またシュウ酸を多量に含む、ほうれん草やチョコ、ナッツ類の過剰摂取には注意して下さい。

4.動物性蛋白質,脂肪の過剰摂取に注意:蛋白質は尿酸値上昇させ、また酸性化による尿中Ca上昇,尿中クエン酸(結石予防物質)減少させる作用があります。脂肪は腸内でカルシウムと結合してしまい、シュウ酸の体内への吸収が増加してしまいます。これらの作用はすべて結石再発へと繋がります。

お酒について:アルコールは利尿作用のため一時的に尿が多くなりますが、その反動で脱水になることが多いです。そのため 脱水による濃い尿になるので余計に結石が出来やすくなります。


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このページは、watacliが2012年4月 5日 10:39に書いたブログ記事です。

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