低たんぱく食について 1 - わたなべクリニク院長雑記

低たんぱく食について 1

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 私のホームページでも生活習慣病には体重減少を第一にしたいと偉そうに書いておりますが、プロフィール写真をみるとメタボ境界型に見えます。指導する医師が太っていて患者さんに痩せろと言うのは、タバコを吸う医者が患者さんにタバコをやめた方が健康に良いと説くのと同じで説得力に欠けています。そろそろ本気で標準体重以下を目指して頑張らなければと自戒しているところです。

 さて、以前のブログにも書きましたが、生活習慣病は食事などの生活習慣から引き起こされるわけですから、本気で治そうと思えば食生活、つまり生き方を変えなければなりません。医師は、高血圧には塩分減らせ、糖尿病の人にはカロリー減らせと簡単に言いますが、"一応 生活指導したよ・・"みたいな程度ですから、患者さんの人生を変えるインパクトはないよな〜と思います。そう考えると昨今の健康番組は良い動機づけになると考えています。生活習慣病ではありませんが、食事療法の中での 特に低タンパク食は難しいと私は思っています。腎機能が悪い人に低タンパク食にしてください、と言いますが低タンパク食ってどうしたらいいの?と聞き返されます。栄養士さんの栄養指導に立ち会ったことがありますが、約1時間かけて丁寧に分かりやすく教えてくれます。しかしながら1時間程度では、あくまで基礎知識の説明であり食事療法の入り口でしかありません。ましてや包丁を握った事もないような紳士の場合は、理解を超えた話にもみえます。

 今回は、"低たんぱく食について勉強しよう"という試みの1回目です。

 まず、腎臓の働きについて説明します。医学生に講義していた時、いつも"腎臓には3つの働きがあります。一つは体に老廃物(尿毒素)を排泄する仕事、2つめに水を排泄して体の水分のバランスを保つこと、3つめにエリスロポエチン(骨髄に赤血球作れと指示する物質)やビタミンD代謝など内分泌作用があります。ですから、急性腎不全になると尿毒素と水が貯まるため、体がだるくなったり致死的不整脈が起きたり、心臓が肥大して心不全になったり肺に水がたまったりします。慢性腎不全になると、貧血や骨代謝異常が加わります。"と説明していました。血液透析でできることは、水を取ること(除水)と一部の尿毒素を取り除くことだけですので、エリスロポエチンやビタミンDを補給する必要があります。

 さて、腎臓が弱っている人に"なぜ低タンパク食が良いのか?"と言うことです。昔は、低タンパク食は血中の尿毒素を下げるから体に良いと理解されていましたが、最近ではタンパク質など老廃物自体が腎臓を痛めつける作用があり、低タンパク食にすることで腎機能低下の進行が抑えられると考えられています。そしてタンパク質にも、体に良いタンパク質と悪いタンパク質があるようです。どのようなタンパク質が体に良いのか?、は次回に説明したいと思います。

 

追記:本屋に行くと食事療法の本はたくさんありますが、基礎知識とレシピの本がほとんどです。レシピの通り毎回作るのであれば問題ありませんが、継続できる、応用できるコツなどはあまり書かれていません。患者さん自身のブログが勉強になるように思いますので、個人的に良いかなと思ったブログを挙げてみます。

http://karadani-iikoto.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-b749.html

・・・このコツは分かりやすい と思いました。

http://ameblo.jp/mapiko-odeb/entry-11233845724.html

 

追記:レシピ通りに作り そのうちコツを習得していくのも良い方法だと思います。

http://teitan.blog33.fc2.com/

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このページは、watacliが2012年4月29日 16:56に書いたブログ記事です。

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